Toru Sasaki December 19, 2025
ビットコインから原油まで「足りない分は取り上げる」ための法改正も完了済み
2025年12月19日 | 佐々木徹
こんにちは、さん。佐々木徹です。
2025年も残りわずかとなりました。今年を振り返ると、ゴールドが年初来で60%超という驚異的な上昇を記録する一方、ドルは明確な売り圧力にさらされ続けた一年でした。
では、なぜこのような動きが起きたのでしょうか?表面的には「米国の利下げ」という理由が語られますが、その背後にはもっと構造的で深刻な問題が潜んでいます。それが、今回のテーマである「覇権国家の海賊化」です。
2025年、米国では信じられないことが起きています。年間の利払費が、ついに軍事費を超えてしまったのです。
📊 2025年米国財政の実態
利払費:9,700億ドル
国防費:9,170億ドル
これがどれほど異常かというと、わずか5年前の2020年には利払費は3,440億ドル、国防費は7,260億ドルでした。つまり、利払費は約2.8倍に膨れ上がり、予算を圧迫し始めているということです。
この穴をどうやって埋めるのか?その答えが、「接収戦略」なのです。
2025年、米国では立て続けに興味深い出来事が起きました。
✓ミャンマー詐欺拠点から140億ドル接収米英の協力により、ミャンマーとタイの国境付近にある巨大詐欺拠点から140億ドル相当の資産が接収されました。
✓ベネズエラ石油タンカー押収制裁対象国の資産押収も加速。石油タンカーと原油を合わせて、100〜182億ドル相当が接収されました。
✓ビットコイン準備金法の成立(2025年3月)トランプ大統領が署名したこの法律、実は「ビットコインを購入する」法律ではありません。正確には、「民事・刑事で接収した暗号資産を国家として保持する」という内容なのです。
✓ステーブルコインのキルスイッチ(7月18日)GENIUS法により、USDTを含むすべてのドル建てステーブルコインに「キルスイッチ」を埋め込むことが法制化。米国は世界中のどこにあろうと、ドル建て資産を無効化できる権限を手に入れました。これこそ、ドルの完全武器化です。
実は、このパターンは歴史上何度も繰り返されてきました。17世紀の英国も、財政難に陥った際、海賊に「敵国船舶への攻撃許可」を与え、略奪した金銀を国庫に納めさせることで財源を確保しました。
短期的には財政が潤いますが、こうした手法は:
を招き、最終的には覇権を失う原因となりました。今、米国で起きているのは、まさにこれと同じ構図なのです。
覇権通貨は約100年周期で入れ替わってきた歴史があります。
歴史的変遷:
1450年〜:ポルトガル → スペイン → オランダ → フランス → 英国ポンド → 1920年〜:米ドル
米ドルが覇権を握ってから、すでに105年が経過しています。歴史的パターンから見れば、そろそろ次の通貨へ移行する時期に差し掛かっているわけです。
では、次は何が来るのか?人民元?ユーロ?ポンド?円?実は、どれも決定打に欠けるのが現状です。だからこそ、国籍のないゴールドに資金が流れ込んでいるのです。
さらに興味深いのが、EUの動きです。公式発表はされていませんが、EU加盟国はGDP比4%のゴールド保有が条件とされているという情報があります。
実際、2025年に最もゴールドを買い増した国は:
ポーランドは現在3.88%。あと少しで4%に到達します。つまり、ユーロ加盟のために必死でゴールドを買い集めていると考えれば、すべての動きに説明がつくのです。
2026年以降、リテラシーの有無が人生を決定的に分ける時代になります。善悪のラベルは、政治的都合で簡単に貼り替えられます。SNSは戦場です。だからこそ、自分で判断する力が必要なのです。
AIが瞬時に答えを出してくれる時代に、人間に求められるのは「高い視点から判断する力」です。歴史、哲学、倫理。これらの教養があってこそ、AIを正しく使いこなし、本質を見抜くことができるのです。
ビットコインは数学です。政治的思惑が入り込む余地のない、純粋な数学とプロトコルで動いています。だからこそ、こうした不確実性の高い時代に、確実性の高い資産として注目されるのです。
シェルターを掘っても、ミサイルが飛んできたらどうにもなりません。それよりも、笑って死ねるような人生を送ること。今日という日を、後悔なく最大限に生きること。これが、実は最も堅実な生き方なのかもしれません。
続編では、以下のテーマについてさらに深掘りしていきます:
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※ 本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。「海賊化」という表現は歴史的パターンとの比較による筆者の見解です。投資判断は自己責任でお願いいたします。
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佐々木徹 | プロフェッショナルトレーダー・教育者
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