Toru Sasaki October 13, 2025
「ビットコインが暴落した」と耳にすると、「また何割も下がったのか」と身構えさせられますよね。でも今回は違いました。
2025年10月のビットコイン暴落では、米中貿易政策ショックをきっかけに過去最大となる約193億ドルものデリバティブ強制決済が発生しています。
清算額そのものは過去最大、つまりビットコインのポジションを強制決済された金額が、歴史上最も大きかったということですね。
図1: ビットコイン価格(黒線)と清算額(緑の棒グラフ)。2025年10月10日を含む数日間で、過去最大規模の清算が発生しています。
清算額:コロナ時の5倍以上(3.8億ドル → 19.3億ドル)
下落率:コロナ時の5分の1(51% → 12%)
まず最初に、過去に起きた主要なクラッシュを確認しましょう。
図2: 過去4回の主要なクラッシュイベントにおけるデリバティブ清算額。今回の2025年10月の清算額(19.3億ドル)が、2位の2021年China FUD(8.5億ドル)の2倍以上であることがわかります。
例えば3番の「2020年3月12–13日 COVID-19ブラックサーズデー急落」などは、酷かったですよね。新型コロナウイルスの感染拡大と欧米での都市封鎖懸念が強まったことで、株式・コモディティ・暗号資産すべてが一斉に売り込まれる「リスクオフ」ムードが加速しました。
当時はデリバティブ取引所の中でも、ビットコインを証拠金にしてBTCUSDを取引する契約が主流でした。シンプルに言えば、「ビットコイン自体を担保にして、ビットコインの取引をする」という仕組みです。
そこで買いを入れていた人たちは、含み損は発生するわ、証拠金の評価額もBTC下落で下がるわで、ダブルパンチを受けました。
図3: COVID-19ブラックサーズデー時のビットコイン価格推移。2日間で最大51.64%の下落という垂直落下を記録しました。この急激な垂直落下、ひどくないですか?
2日間で、最大51%を超える下げが発生しています。
今の市況で例えたら、昨日まで12万ドルだったビットコインが、目が覚めたら6万ドルまで下げているんですよ!
上記を振り返った後、改めて今回の値下がりを見てみましょう。
図4: 2025年10月の米中貿易政策ショック時。関税100%という衝撃的なニュースにも関わらず、下落は約11.45%にとどまりました。
下げ幅は11%少々ですから、COVIDショックに比べたら、5分の1くらいしか下げていません。
はっきり言って、2020年を経験した人なら、「ん? なんか下げたっけ?」くらいのインパクトです。
📊 清算された金額で比較すれば:
• 2025年:19.3億ドル
• 2020年:3.8億ドル
つまり今回は、清算された金額が5倍超になっているのに、値下がり率は5分の1になっているんです。
ファンダメンタルズを考えていくと、一過性か読めないイベントか、ということがよく挙げられます。
2025年10月の下落は「米中貿易政策ショック」によるものです。これは、米中が手打ちすれば解決する内容ですし、合意した方がお互いのダメージも小さく済みます。それほど長引く理由がないと市場は判断できることでした。
一方、2020年3月や2021年5月の暴落はグローバル金融危機再来懸念やエネルギー市場急変、中国当局規制といった継続的・拡散的なリスク要因によるものでした。
でもトレードの観点から考えるなら、数字での説明が欲しいですよね。なぜなら、客観的な評価ができる軸があるなら、次回同じことが起きても、判断に使えますからね。
• 数字で見る本質:市場規模の拡大とショック吸収力 • オープン・インタレスト(OI)の大型化と分散化 • 清算額÷OI比率の詳細分析 • トレーダーが知っておくべき3つのポイント
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