③ 多面的に考える:日本の「当たり前」は世界の「特殊」 通貨の価値は、そこに住む人がそれをどの程度必要とするかで変わります。私たちは日本に住んでいます。 すると日本の常識やシステム、社会のインフラが世界標準だと考えがちです。しかし日本は特殊な国です。 日本の「安全」は世界標準ではない 清潔・安全・便利。 朝起きたら国の秘密警察がドアの前を封鎖して、自宅から金目のものを巻き上げていく。そんなことはありません。狭い地域に押し込められ、高い壁で封鎖され、ことあるごとに理由をつけて領土を侵食され、反抗したら200倍にして爆撃され命を奪われる。そんなリスクもありません。 政治的な混乱が発生し、多言語を話す民族の寄せ集めであるために国家内がバラバラになり、民族紛争に突入する。そんなリスクもありません(少なくとも今は)。 このように安定した国であれば、国の管理する通貨が便利・安全です。非中央集権のビットコインへのニーズも感じないでしょう。 しかし2024年の時点で、自由民主主義国の数は88カ国にまで減少しました。権威主義的な国や地域の数は91カ国となり、民主主義を上回っています。 参考:V-Dem Democracy Report 2024 日本で当たり前と私たちが認識している事柄。これは世界の他の地域から見れば、とてつもなく恵まれた環境の上に成り立っているものなのです。 国家が財産を奪う主体になる時 国家そのものが個人の財産や富を奪いにくる主体となったとき。自分の富を守れる手段は限られてきます。 歴史を振り返れば、ナチス・ドイツはユダヤ人に悪のラベルを貼り、彼らの財産を組織的に没収しました。第二次世界大戦中には、戦費調達の手段としても利用されたのです。 国家が個人の財産を奪う主体となった歴史的事例として、私たちは記憶しておく必要があります。 - •現金:国が通貨政策を切り替えれば無価値になります
- •不動産:国が財産税で没収できます(戦後の日本でも起きました)
- •ゴールド:身につけて隠せる分量にも限界があります
- ✓ビットコイン:シードフレーズを記憶すれば、誰も奪取できません
2025年のグローバルリスク でも、ワールド・エコノミック・フォーラムが発表したグローバルリスクレポート2025を読む限り、そこから目を背けてばかりもいられなさそうです。 システムダウンのリスクシナリオ 仮に日本の主要な大手都市銀行の一つがサイバー攻撃を受けたとします。個人の暗証番号などが漏洩すれば、即座にシステムは停止せざるを得ません。 停止が発表されれば、それに乗じてアテンションエコノミー(注目を集めることが価値になる経済)のSNSでは、その停止を「銀行が資金ショートして出金停止!」と書き立てるでしょう。 取り付け騒ぎが起こり、関係ない銀行までも、その騒ぎに飲み込まれる可能性すらあります。この段階で生成AIが、日本国の首相の声明を偽造するかもしれません。「財産税が創設されました。明日から預金金額の半分は没収されます!」 SWIFTが止まると世界経済が止まる SWIFTは約200か国・11,000以上の金融機関を結ぶ「国際送金の中核インフラ」です。もしSWIFTがサイバー攻撃でダウンすれば? クロスボーダー決済・外為取引・国債決済・貿易金融など大規模遅延・停止が起きます。商業取引や国際物流も停止する連鎖リスクがあります。 こんなことになる可能性がどの程度かはわかりません。しかし2016年2月には、バングラデシュ中央銀行がサイバー攻撃を受けています。ハッカーはSWIFTシステムを悪用し、ニューヨーク連邦準備銀行にある同行の口座から10億ドルの送金指示を出し、実際に8,100万ドルがフィリピンのカジノ口座などに送金され、盗まれています。 仮にSWIFTが全面停止に追い込まれたりしたら、、、越境取引で使える方法はビットコインくらいしかなくなります。SWIFTのダウンで世界が仮にカオスに陥った時でも、国の制約なく自由に非中央集権で取引できる通貨。それはビットコインしかないのです。 こういうリスクも目の端っこに入れ、多面的な見方を持つ。そうすることで、ビットコインの価値を多面的に評価できるものと考えます。 |